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2011/11/03 (Thu)
小説 悪人
色々思ったんだけど、特に強く感じたところ3点。
ネタばれしまくりです。


「誰が悪人か」?誰でも悪人の面を持っている。それは、小説に登場する“どこにでも居そうな人たち”を見れば分かるだろう。その悪も、連鎖することでとんでもない事態に展開されてしまうことがある。佳乃がもう少し祐一をないがしろにしなかったら、増尾が奢った考えを遂行しなかったら、祐一に魔が差さなかったら・・・登場人物はそれぞれ何か抱えているが、これくらいみんな持っている。そういう意味で、TVに出てくる殺人事件も自分の周りの人たちと同じような環境の人たちが関わっていて、全く別次元の話ではないよ、そんな考えがよぎった。善いところ、悪いところ誰しもその両面を持っていて、本当は善いか悪いかなんてクリアカットに分けられない。白黒なんてはっきりつけられない。グレイだよ・・・。誰かが悪いってすれば、その人を非難することで心が救われるんだろう。確かに人殺しは悪いこと。でも、祐一はそんなに悪人?傲慢な増尾の善いところは見つけるのが難しそうだけど、佳乃父だって、一歩間違えれば人殺しをした悪人になるところ。世間から悪人になってしまい、本当に一人になってしまった祐一とスパナを持っていったけど増尾の生き方に悲しさしか感じられず明りの灯る家に帰る佳乃父・・・人生はほんの少しの差で大きく変わってしまう。

光代が過去を振り返っての独白では、周りの人が言うように「祐一は悪人」となんとか自分に思い込ませていようとしているに感じられる節がある。そうでもしないと壊れてしまうのかもしれないし、なんとか自分の行動を”他人から見て”正当なものとしようとしているように感じられた。でも、ちょっと寂しい。二人が一緒に居た刹那刹那で生まれた気持ちは本当なんだと思う。わたしにはどうしても祐一が自分の気持ちを隠して、利用するために光代と一緒に居たとは思えない。確かに彼は何を考えているか分からないところがあるけれど、それは表現するのが下手なだけで、彼は本当に不器用な人だ。そして、純粋なところがあるから、彼なりに心が通じた人を守るための行動に出て、その一切を語らない強さを持っているんだと思う。光代が一人で舞い上がっていたのではなくて、祐一だって静かな焔を光代の傍らで燃やし続けていたと思う。だから、寂しい。光代さん、あの時感じていたこと、もっと主体的に見れたらいいのに。それも弱さなのかな。
 
解せないのが、祐一が罪を犯した翌日に吐き気だけですんでいたことだ。光代に告白していた通り、光代に出会う前までは自分が悪いと思う気持ちが少なかったのかもしれない。でも・・・人を文字通り「息が止まるまで」締めるって相当のこと。罪の意識は低いと言っても、日常のあちこちに落ちている罪とは種類が違う。あんな風に「ちょっと顔色が悪い」「何回か吐く」くらいで収まるもんじゃないんじゃないかと思う。殺しのプロじゃあるまいし。相当自分の気持ちを抑圧することに長けているのだろうか・・・。それとも彼が抱える大きな喪失感が恐怖感や罪の意識を覆い隠してしまったのだろうか。自分から行動を起こすことはなく、でも誘われたりお願いされたら断らない祐一。あんなことの後、普通なら淡々と日常生活を営めない気がするけど、風呂に入って飯をかきこんでじいちゃんを送っていった祐一。その辺りに彼らしさを見る。幼少の頃の出来事で、何かが麻痺していたのかな。そして、皮肉なのは最後の行動は、彼らしからぬ自分から起こした行動だったことだ。
 
上巻をお風呂に浸かって読んでいたら、いつの間にかお湯が水になっていて、ぶるぶるしながら浴槽を出た。同じ過ちを繰り返すまいと下巻は座って読んでいたら、あまりに長い間体勢を変えなかったために坐骨辺りが痛くなった。。。読後、しばらくもやもやしていたが、映画を借りにTSUTAYAへ。
 
映画はもう少し間を空けて観ればよかった。映画を小説と切り離して観ることができなかったから。映画にない独白パートが頭にばっちり入っていたし、わたしとしては重要と思ってた人物とエピソードが出てこないのが気がかりだったり、頭が小説に支配されていた。キャスティングは素晴らしい。妻夫木くん、祐一にしか見えない。樹木希林、デスクの脚を掴んで離さないシーンが忘れられない。深津絵里が光代、光代だから深津絵里。えもっちゃんの父姿もまた見たいし、時をあけてもう一度鑑賞しようと思いまする。

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カーット!!!
よいよい。その調子で「マークスの山」も映画観て小説読んでみてね。
ヌケ作 2011/11/04(Fri)21:36:22 編集
どっちが先ですか?
ん?「マークスの山」は映画が先??
saya 2011/11/04(Fri)22:19:40 編集
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